キャリアは“奪われるもの”ではなく “自分で編み直すもの”という視点
「夫が仕事中心で、夢を追い続けていると、妻のキャリアが奪われる」
そんなニュアンスの言葉を見聞きすることがあります。
もちろん、奪う側・奪われる側という構図は家庭によってまったく違います。
妻が仕事中心で、夫がキャリアを中断するケースもあるでしょう。
ただ、一般的には「夫が外で働き続け、その影響で妻がキャリアを中断しやすい」という傾向が強い。
今回は、その前提のもとで、私が感じた違和感について書いてみたいと思います。
■ 育児が重なると、妻がキャリアをあきらめやすい現実もある
たしかに、子どもが生まれ、夫が仕事中心の生活をしている場合、
どうしても育児・家事の負担は妻に集中しがちです。
経済的な余裕があって外注を使える、祖父母の協力が得られる——
などの条件がそろわない限り、育児と仕事の両立は現実としてかなり難しい。
その結果、妻が「自分のやりたいことを諦めざるを得ない」状況になることはある。
これはこれまでの日本でよく見られた光景だと思います。
■ でも——すべての妻が“犠牲者”として歩んでいるわけではない
ここで私は、少し違和感を覚えました。
外からは「夫のせいでキャリアを奪われた妻」に見える状況でも、
本人は必ずしも“犠牲者”とは思っていないことがあるからです。
たとえば、
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子どもとの時間を大切にしたい
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今の仕事に強いこだわりがない
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現状維持で精いっぱいで、立ち止まる時間がほしかった
-
そもそも “やりたいこと” をまだ見つけられていなかった
こうした思いを持つ女性は少なくないはずです。
そのうえで一時的にキャリアを緩めたことで、
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自分の時間を持てた
-
本当にやりたい仕事を探す余裕が生まれた
-
人生そのものを見直す機会になった
など、「犠牲」ではなく「機会」と感じる人もいると私は考えています。
■ “キャリアの中断=不利”という物差しそのものがズレている
「キャリアを中断したら不利になる」。
そうした言説に、私は以前から違和感があります。
キャリアの中断は、ただのブランクではありません。
自分の人生を設計し直すための、大切な節目にもなり得るものです。
実際、専業主婦やパートの期間を経て、
ライフワークに巡り合い、豊かなキャリアを築く女性も多くいます。
一方で、「中断せずに働き続けること」自体が、
本当にメリットばかりかといえば、そうとは限らない。
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思考停止で働き続けてしまう
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自分が何を望んでいるのかを考える余裕がない
-
現状維持バイアスで流され続ける
そんな状態の10年、20年が、本当に“強いキャリア”なのでしょうか。
考え続ける人の方が強い。
行動して編み直していける人の方が、しなやかで折れない。
私はそう感じています。
■ 女性だからこそ選べる“キャリアの柔軟性”という強み
日本では、女性が育児を理由にパート・専業主婦になることに、社会的な違和感はあまりありません。
一方で、男性がその選択をすると、
「珍しい」「どうしたの?」という視線が向けられてしまうこともある。
これは一見、女性のデメリットに見えますが、
私はむしろ 女性がキャリアを柔軟に切り替えやすい環境だと捉えています。
女性だからこそ、
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子どもの時間を大切にしつつ
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自分の時間も確保しつつ
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自分のやりたいことを探す期間を持ち
-
タイミングが来たら再びキャリアに軸足を置く
という人生設計が、社会的にも自然にできる。
この柔軟性は、もっと肯定されてよいはずです。
■ 私自身の体験──中断ではなく「再構築の期間」
私自身も、夫のせいで犠牲になったとは感じていません。
子どもを育てながら、自分の中にあったモヤモヤに真正面から向き合い、
自分の望む生き方や、人生100年時代の働き方について深く考えました。
その結果としてキャリアチェンジを選んだのですが、この期間は私の人生に必要不可欠なものとなっています。やりたいことを次々叶えることができており、とても感謝しています。
■ 最後に──妻側だけが“犠牲の物語”を背負わなくてもいい
もちろん家庭ごとに事情は違い、一概には語れません。
しかし、妻ばかりが犠牲者という一枚岩のストーリーだけで捉えると、
大切な視点が抜け落ちてしまうと私は思っています。
たとえ外から見れば「犠牲」に見える出来事でも、
その後の生き方次第で「好機」に変えていくことは十分できます。
夫であれ妻であれ、
自分のペースで、やりたいことを、やりたい形で実現していく。
人生100年時代だからこそ、そんな自由な生き方が許されていい。
私はそう思っています。
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