今夏は、家族でたくさんお出かけをしました。
少し遠出もして、テーマパークや水族館など、お金のかかる楽しい体験もいろいろしました。
でも、そんな中で、我が息子の心に一番強く残ったのは――近所で無料で捕まえた「かぶとむし」のオスでした。
他県まで行って、立派なかぶとむしのつがい(オスとメス)を購入したり、くじ引きで貴重なオオクワガタを当てたりもしました。
それでもやっぱり、「自分の手で見つけて捕まえた」あの瞬間の喜びには、どんな高価な虫も敵いません。
子どもにとって、“自分の力で得た体験”こそが最高の宝物なのだと感じました。
かぶとむしの最後の日
我が家の虫かごは、いつの間にか7個ほどに増え、かぶとむしやクワガタが十数匹も暮らしていました。
さらに知人から幼虫を5匹いただき、まるで「虫と共に暮らす家」のようににぎやかです。
そんな中、1か月ほど前にメスのかぶとむしが亡くなり、そして今日、とうとうオスのかぶとむしも力尽きました。
壁に向かってひっくり返っている姿を見つけたとき、胸が締めつけられるようでした。
「かぶとむし、死んじゃってるみたい」と伝えると、息子はすぐに虫かごを開けて確認し、
「ボクが捕まえたかぶとむしも、ついに死んじゃったね」と小さな声でつぶやきました。
その表情は、買ってきた虫が死んでしまったときよりも、ずっと悲しそうでした。
それだけ「自分で捕まえたかぶとむし」への思い入れが深かったのでしょう。
庭の片隅に眠る、夏の相棒
私たちは、かぶとむしを庭の片隅に埋めてあげることにしました。
この夏、本当によくゼリーを食べ、元気いっぱいに過ごしたかぶとむしでした。
一日2個も餌を交換した日もあったほどです。
乾燥しないよう霧吹きで湿らせたり、登り木を入れてあげたり。
お姉ちゃんと一緒に観察しながら、家族みんなで成長を見守ってきました。
そのつがいは卵を産まなかったようですが、譲り受けた幼虫たちはすくすくと育っています。
虫かごの壁越しに動く姿を見つけるたびに、
「見て! 幼虫ちゃんが動いたよ!」と、子どもたちの声が響きます。
命のバトンをつなぐ体験を
「かぶとむし君、かぶとむしちゃん、今までありがとう!」
「また来年、元気な姿で会おうね!」
命の終わりを見つめること、そして次の命を育てること。
それは、子どもにとって“生きる力”を学ぶ貴重な体験だと感じます。
今年の夏、我が家に訪れた小さな命たちは、確かに息子や娘の心の中で生き続けています。
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